片付けコメディーマンガ、ゆるりまいさんの「わたしのウチには、なんにもない。4」を読みました。
ネタバレありです。
認知症の祖母を亡くしたまいさんは動揺しつつも初めての遺品整理をすることになります。
使わないものは徹底的に排除するまいさんも遺品整理となると簡単にいる、いらないの区別をつけられなかったようです。
ある日、それは突然に
認知症が悪化して老人ホームに入所していたまいさんの祖母でしたが、体調が悪くなりホームから連絡が入ります。
認知症になってから、いろいろな体調不良を理由にまいさんの母を呼び出すようになったようです。
しかし病院に行くとケロッと治り病院で検査をしても特に異常もなく「いつものことか」と思っていた矢先、救急車で運ばれました。
急性腎炎という病気で体中にウイルスがまわり高齢者なので手術をせず薬を投与していました。
看護師さんのグチを言ったり北枕を気にしたりと元気な様子でしたが、急速に悪化し意識がもうろうとしてきます。
意識があるうちに感謝の気持ちを伝えたまいさんと家族でしたが、病院に搬送されて2日目の朝に息を引き取りました。
祖母のお葬式
疲れと慣れないことばかりで動揺していたまいさんでしたが次々と来客が訪れるたびに片付けやすい家にしていて本当に良かったと実感していました。
汚部屋だと亡くなった人を安置する場所もなく、お客さんも部屋にあげられません。
困ったことは葬儀の連絡をする人がわからなかったこと。
そして棺の中に入れるものを選ぶ時に愛用品は人生や生き方を反映する物だということを知ったのでした。
連絡してほしいリストや棺の中に入れてほしいリストを作っておくと便利かもしれません。
残された家族
無事葬儀が終わった後は手続き関係です。
住民票、年金、保険、印鑑証明、通帳の解約などやることはたくさんあります。
そこで相続支援センターにお願いして手続きを代行してもらうことにしました。
財産のあるなしに関係なく時間がとれない人や不慣れな人のサポートをしてくれるので安心です。
とりあえず銀行口座は管理できる範囲の数にしておこうと誓ったまいさんと母でした。
はじめての遺品整理
荷物を整理していると祖母の自分史ノートを発見し、自分たちのことは何も書いてないことにショックを受けるまいさんと母。
今まで描写されてなかったのですが3人は仲の良い家族ではなかったようです。
祖母はアメリカに二度留学し仕事をするバツイチのキャリアウーマンで、まいさんの母は祖父母に育てられました。
離れて暮らすことから2人の心の距離が縮まらないまま高校、大学へと進学。
大反対されて結婚した末に、まいさんが生まれました。
片付けが原因でモメたこともあり、まいさんの祖母と父母は仲良くなることがありませんでした。
その後まいさんの父母は離婚し家族は祖母、母、まいさんの3人に。
厳しい祖母が苦手だったまいさんでしたが祖母の定年退職とともに初の3人くらしになります。
反抗期を迎えたまいさんは祖母と合わず大嫌いになり家の雰囲気は最悪でした。
祖母の転機
まいさんが大学生になった頃、仕事を引退した祖母の様子が少しずつおかしくなっていきました。
引きこもりがちな祖母を病院に連れていくと軽い老人性ウツとのこと。
その後も回復することなくゆっくりと変わっていきます。
身の回りの関心がなくなり、物忘れをするようになり、物に執着するようになりました。
掃除をする姿を見るだけで怒るので入浴やトイレのすきに部屋を片付けるまいさんと母。
病院を拒む祖母に困り果てる母でした。
祖母との葛藤
そんな3人を大きく変えたのは東日本大震災でした。
家を建て替えるために引っ越し、荷物と向き合うことになりましたが祖母は建物の取り壊しと荷物の処分を嫌がります。
まいさんと母は説得し祖母の指示で大事な物を探して取り出しました。
見つけた物を渡すたびに祖母は安心した表情になり捨てることを承諾し始めます。
処分する理由を伝えること、作業工程をこまめに伝えることで祖母も納得し協力的になってきました。
荷物が減らないことに焦るまいさんでしたが一線を引いて整理を見届けます。
自分の物ではない人の物を整理する時は冷静になり相手のペースに任せることが大事です。
祖母の本当に大事だった物はアルバム、論文、研究の資料と本、留学時代の品、トランクケース、仕事服、尊敬する父の愛用品でした。
そしてきちんと話し合って片づけを終えた時からトントン拍子に事が進みます。
第三者の力で祖母を病院に連れ出し認知症であることが判明、ショートステイに通い出したことで生活にハリが出て自分の部屋の片付けを始めました。
まいさんの旦那さんという新しい家族が増えたこともあり家族の関係が暖かい空気に包まれました。
住環境は大事ですね。
祖母の残したものたち
夏に入り遺品整理を始めたまいさん、旦那さん、母の3人。
遺品整理のコツは見ていて辛い物や思い入れの少ない物から始めることです。
ベッドや服、新聞のスクラップ、メモやノートを処分しました。
引き出しから書けないボールペンや大量の輪ゴムやクリップなど細かい小物がたくさん出てきて困惑するまいさん。
いただきものだと思われる高そうな万年筆や香水、石鹸などが未使用で出てきましたが、まいさんたちの趣味に合わずほとんど処分します。
取っておいても亡くなったら使えないので後悔しないように大切な物こそどんどん使っていきたいですね。
祖母は手帳やノートにお札をしまう人だったので宝探し状態に。
そういう癖のある人は多いので整理の時は気をつけましょう。
中にはグチを書いた日記など遺族が見たくない物も出てきます。
反対にプレゼントした物や手紙などうれしい物が出てきたりと遺品整理は亡くなった人と向き合う大切な作業です。
家族が見て悲しくなるような物は生きているうちに処分したほうがいいかもしれません。
母親の事情
そんなある日、母が遺品整理をストップしたいと言い始めます。
疲れたことを理由に先送りにする母をまいさんは見守ります。
過去の遺品整理では祖母が絶対に処分しなかったので物があふれていました。
持っていても仕方ないし使わないこともわかっているのですが、そう簡単には割り切れません。
祖母に「捨てるな」と言われたことに縛られて判断が重く、捨てるのが怖くなっていた母。
遺品整理は故人と一番身近な人の心の整理でもあります。
自分の中で納得した時が来るまでじっくり向き合っていきましょう。
新しい命の誕生
祖母が亡くなってから、まいさんの家には2つの変化がありました。
それは新顔の猫がやってきたことと、子供を授かったことです。
祖母の希望通りの男の子で夢で応援されたまいさん。
亡くなってから仏壇に話しかけることが多くなりました。
物があってもなくても故人を忘れることはないと気づいたまいさんと母。
戸棚に詰まった荷物はこれから少しずつ時間をかけて整理していくようです。
感想
まいさんの家の猫たちの写真や妊娠して子供を迎えるための準備をすすめている話なども書かれていて、ほっこりしました。
先住猫とくっついて眠る姿に癒されます。
旦那さんやまいさん、母の人柄がわかる4コママンガもあって面白かったです。
今回は部屋の写真が少なかったですが棚の模様替えの写真はありました。
私の実家もリフォームのための引っ越し準備でいろいろ処分しましたが普段から荷物整理をしておくことが重要だということをあらためて実感しました。
物がたくさんあると次の世代の人たちが大変なので必要最低限のお気に入りの物に囲まれて暮らしていきたいです。
こちらもどうぞ