永作博美さん・井上真央さんの演技に感動の涙「八日目の蝉」感想  

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母親だと思っていた人が実は自分を誘拐した犯人だったとしたら、あなたはどうしますか。

今回は第35回日本アカデミー大賞・最優秀賞10冠に輝いた衝撃の作品「八日目の蝉」を紹介します。

ネタバレありです。

蝉の字は実際と違いますがご了承ください。

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あらすじ

不倫相手の秋山丈博 (田中哲司)の子供を妊娠した野々宮希和子(永作博美)は相手の説得により産むことを諦めて堕ろし、それが原因で子供が産めない体になってしまう。

同じころ妻の恵津子(森口瑤子)は妊娠し女児・恵里菜を出産。

希和子をののしり電話をかけたり嫌がらせをする毎日。

疲れた希和子は秋山を諦めるために産まれた恵里菜を見に家を訪ねる。

夫妻が留守中だったので家に侵入し衝動的に恵里菜を誘拐してしまう。

希和子は恵里菜を薫と名付け逃亡生活を始める。

偶然見つけた「エンジェルホーム」という女性専用の施設に入所する。

ホームでは別名がつけられ、希和子はルツ、薫はリベカと呼ばれる。

希和子はエステルと呼ばれる沢田久美(市川美和子)と仲良くなる。

2年半ほど暮らしたころ施設は世間からの風当たりが強くなり、見つかるのを恐れた希和子は久美の助けを借り、彼女の実家がある小豆島に向けて脱走。

希和子は宮田京子という偽名を使い、久美の両親(平田満・風吹ジュン)の営むそうめん屋で働きながら暮らすことに。

小豆島で穏やかな日々を過ごす。

ある夏の日、希和子と薫は「虫送り」という行事に参加する。

二人を撮った写真がコンテストで佳作入選し、新聞の全国版に載ってしまう。

希和子は再び逃亡しようとするが時はすでに遅く逮捕されてしまう。

薫は本名の恵里菜に戻って秋山家で暮らし始めたが4年間の壁は厚く親子の溝は深まるばかりだった。

時は流れ、大学生になった恵里菜(井上真央)は希和子と同じように不倫相手の岸田(劇団ひとり)の子供を妊娠していた。

ある日のバイト帰りにフリーライターの安藤千草(小池栄子)が声をかけてきた。

取材で出会った二人は恵里菜の妊娠の相談などで次第に仲良くなっていく。

恵里菜は岸田と別れ、子供を産む決心をする。

打ち明ける恵里菜に心を開いた千草は自分の過去を明かす。

実は千草も恵里菜と同じ時期にエンジェルホームにいてマロンと呼ばれていた。

恵里菜と千草は幼なじみだったのだ。

絆が深まった二人は小豆島に取材旅行に出かけることに。

いろいろ見て回るうちに恵里菜は幼いころの記憶がよみがえる。

そしてある写真館の前を通りかかり恵里菜は立ち止まる。

それは希和子が捕まる直前に一緒に撮影した写真館だった。

店主から5年前に刑期を終えた希和子が写真を引き取った話を聞き、ネガを現像して見せてもらうことに。

写真を見た恵里菜は自分がどれほど愛されていたか思い出し、自分の子供を愛情いっぱいに育てようと決意する。

感想

親子とは何なのか、人間の弱さ、悲しみ、痛みなどを考えさせられる作品でした。

希和子(永作博美さん)

演技力が素晴らしく感動しました。

希和子が子供を誘拐した罪は重いもので決して許されることではありません。

特に既婚者の方は希和子に感情移入できないかもしれません。

しかし逃亡生活から生まれた擬似母娘の愛は本物の親子以上とも思える温かいものでした。

いつまで一緒にいられるかわからないという、はかない関係だからこそ思い切り愛情を注げたのだと思います。

恵里菜(井上真央さん)

幼いころのトラウマが大人になっても消えず、もがき苦しんでいる様子が繊細に描かれていました。

アダルトチルドレンの私には共感できる部分が多かったです。

自分の境遇を憎み、認めたくないと思いつつも希和子と同じ不倫の道をたどってしまうところに切なさを感じました。

最後に子供を愛情いっぱいに育てようと決意した場面では希和子の夢が引き継がれたような気がして感動しました。

千草(小池栄子さん)・久美(市川美和子さん)

彼女たちも恵里菜と同じように過去に受けた心の傷がありました。

千草はエンジェルホームでの生活が原因で男性恐怖症に、久美は離婚した旦那に親権を取られたことで苦しんでいました。

過去の悲しみや痛み、孤独と向き合い一生懸命前に進もうとする姿に励まされました。

恵津子(森口瑤子さん)

ある意味一番の被害者ではないかと思いました。

旦那には浮気され、子供は誘拐され、やっと戻ってきたと思ったら全然なつかない。

自分の身に置き換えると本当に心が痛みます。

恵津子はヒステリックに泣き叫び恵里菜に厳しい場面が多く、どちらかというと希和子の方を良く思ってしまうような作りになっていた気がします。

こんな不幸なことがあれば精神的に不安定になるのもわかりますし、もう少し恵津子に同情できる場面があってもいいのにと思いました。

他人をののしってはいけない、そんな教訓を学びました。

丈博 (田中哲司さん)・岸田(劇団ひとりさん)

女性が中心の物語なので男性たちのことはあまり描かれていませんが、ひどく不誠実な対応にやり切れない思いが込み上げました。

欲望に負けた人間の弱さを見ることができます。

不倫はいけないことだけど時には魔が差してしまうこともあるかもしれません。

けれど相手に期待を持たせるような付き合い方はしてはいけないと思います。

不幸になる付き合いは止めてほしいと強く思いました。

重いテーマの映画ですが興味があればぜひ見てみてください。

本やドラマもあるみたいです。

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