9月16日にテレビ放映していた是枝裕和監督の「そして父になる」を見たのでレビューします。
2013年の映画でカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した作品です。
ネタバレありです。
あらすじ
やりがいのある仕事で裕福な家庭を築き、順風満帆な人生を送ってきた良多(福山雅治さん)。
ある日、息子が生まれた病院から電話があり、他人の子供と取り違えられていたことが判明する。
子供を交換するべきか、このまま育てるべきか思い悩むそれぞれの家族。
家族が選択した決断は血のつながりか、それともこれまで過ごしてきた6年間なのか……。
キャスト
野々宮良太(福山雅治さん)
勝ち組のエリート建築家。
仕事が忙しく家族サービスがなかなかできない。
負けず嫌いで人の気持ちがわからない一面もある。
野々宮みどり(尾野真千子さん)
良太の妻。
仕事が忙しい良太に対して不満に思っている。
厳しくしつける父親をカバーするように息子に優しく接している。
野々宮慶多(二宮慶多くん)
良太とみどりの息子。
厳しく育てられ習い事やお受験に忙しい6歳。
良太と違い、競争心がなく心優しい性格。
斎木雄大(リリー・フランキーさん)
町の小さな電気屋を経営している。
品はないが子供と一緒になって遊ぶ子煩悩な父親。
斎木ゆかり(真木よう子さん)
雄大の妻。
3児の母で面倒見がよく、みどりと連絡を取りながら情報交換をしている。
斎木琉晴(黄升炫くん)
斎木家の次男。
やんちゃで人見知りをせず、ゲームが大好き。
感想
「生みの親より育ての親」という格言がありますが、まさにその通りの内容でした。
平成の世の中で取り違えなどあるのかと思いきや、幸せな家族に嫉妬した看護師が故意にやったという衝撃の事実が判明!
この事件が実話を基にした映画というのだから驚きです。
お金と時間どちらが豊かなのか
裕福だけど仕事が忙しい野々宮家、時間に余裕はあるけれど貧乏な斎木家と対称的なそれぞれの家族。
一体どちらが幸せなのか考えさせられました。
一人で何でもできるようにと厳しく育てる野々宮家に対し、子供と一緒にいる時間が大事としつけもそこそこにのびのびと育てる斎木家。
教育方針の違いによって家族の形は全く違うものになることを学びました。
もし私が家庭を持つのなら野々宮家と斎木家の中間を目指したいです。
子供を育てながら成長し父になる
良太が父親になっていく様子に心温まりました。
子供を二人とも引き取るという強引な提案をして斎木に「負けたことのない奴は人の気持ちがわからない」と激怒されたり、事件を起こした看護師に会いに行った時に血のつながりのない子供との絆を見せつけられたことから、父親として大切なことを学び成長していきます。
息子につい厳しく接してしまうのは自分も義理の母親に育てられたという過去からきていました。
この出来事を通して義理の母親の気持ちを理解し、今までのことを謝っていたのが印象的でした。
母親は強く優しい
これから先、どんどん相手の父親に似ていくがそれでも愛することはできるのかという良太の問いに「愛せる」と力強く言い放ったゆかり。
「似てる似てないにこだわるのは子供と血のつながりを実感できない男だけ」というゆかりの発言に妙に納得してしまいました。
義理の母親に謝りの電話を入れた良太に対して「そんな昔のこと忘れた。もっと楽しい話がしたい」と気遣う養母の発言に器の大きさを感じました。
親になったことのある人なら切なくて泣ける映画だと思います。
原作はこちらです。
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