以前しゃべくり007でくりぃむしちゅーの有田さんが「2度読みたくなる本」として紹介していた乾くるみさんの「イニシエーション・ラブ」。
前田敦子さんと松田翔太さんが主演で映画にもなり話題になりました。
本を読み、映画も見て乾さんの他の作品も気になった私は、お友達のAちゃんからセカンド・ラブを借りて読んでみることにしました。
内容を知りたくない人は注意です。
あらすじ
1983年の元旦、里谷正明は会社の先輩・紀藤にスキー旅行に誘われ、先輩の彼女の友人・春香と出会う。
お嬢様育ちの大学院生の春香と工場で働く高卒の自分はつり合わないと恋心を抱きつつ諦めていた正明だったが、数日後春香から電話があり二人は会うことになる。
デートでお互いの生い立ちを語り、打ち解けた二人はやがて付き合うことに。
順調に交際が進んでいたある日のデート中、すれ違った男が突然春香の腕をつかみ、「美奈子。お前……よくも騙したな!」と絡んできた。
結局、歌舞伎町のホステスと勘違いしていたことがわかったが、正明も春香も美奈子の存在が気になっていた。
ある日の飲み会終わりに同僚の倉持と新宿で別れた後、正明は春香が間違われたホステスの店「シェリール」を見つけ好奇心から中に入ってしまう。
そこで春香によく似た「ミナ」に出会う。
話に春香の名字が出てきたので問い詰めると、ミナは春香の妹・半井(なからい)美奈子であることを告白。
実は春香と美奈子は家庭の複雑な事情で生き別れた双子の姉妹だったのだ。
春香の出生の秘密を共有し徐々に仲良くなる正明と美奈子。
正明は清楚な春香と大胆な美奈子の間で心が揺れていた。
登場人物
里谷正明
物語の主人公。26歳でニックネームはサトやん。
不幸で理不尽な家庭環境だったため感情表現が苦手。
13歳で父親、高3で母親を失い、大学への進学を諦めて家具製造会社「ハラモク工業」で作業員として働いている。
趣味は読書で学歴にコンプレックスを持っている。
ハンサムなのに今まで女性と一度も付き合ったことがない。
春香に精神的な靭さ(つよさ)を認められる。
内田春香
物語のヒロイン。23歳でニックネームはウッチー。
不動産業を営む父を持つ真面目なお嬢様。
東栄大学の大学院生で超美人。
父と母が駆け落ちしたという複雑な家庭環境から自分の気持ちを表に出さなくなった。
正明に似たものを感じ自分から連絡をとって付き合うようになる。
霊感が強い。
紀藤和彦
正明の会社の先輩。27歳。
長身で筋肉質な体型。
自分で会社を興して独立するという野心を持っている。
女性の扱いがうまく面白い性格。
高田尚美
紀藤先輩の彼女で、春香の大学時代の同級生。23歳。
周りの場を和ませる明るい性格。
倉持
正明の同僚。33歳。
前科を持っているが真面目に更生している。
正明に心を開いている。
半井美奈子
春香の双子の妹。
表情が豊かで明るい性格。
歌舞伎町のパブ&スナック「シェリール」で働いている。
同じ店の子からは魔性の女と呼ばれている。
正明と紀藤の両方がタイプ。
感想
イニシエーション・ラブのトリックが全然見破れなかったこともあり、今回は最初からメモを取りながら用心深く読みました。
1980年代の話なので携帯電話もなく、描写が古いと思うところもありましたが引き込まれてグイグイ読めます。
半日くらいで読み終わりました。
イニシエーション・ラブの続編ではありませんが時代背景は同じ時期なので50代以上の人は特に楽しめると思います。
トリックがいくつかあってわかるものもありましたが、疑問に思うところもあり結局解説サイトのお世話になりました。
読み終わってすぐ最初のほうを読んで話の内容を確認しましたが終わり方に納得がいかずモヤモヤしました。
すぐに諦めずに、もう少しだけ注意深く読めばトリックがわかったかもしれません。
最後の数行で驚く仕掛けはイニシエーション・ラブと同じでしたが後味が悪く、衝撃も少なかったです。
ヒロインの名前とタイトルが中森明菜さんと宇多田ヒカルさんをもとにつけられていることが最後の解説でわかって面白いと思いました。
ローマ字を並べ替えると半井美奈子=中森明菜、内田春香=宇多田ヒカルになります。
物語の内容と歌詞がリンクしている部分もあって、いろいろ探すのも楽しいです。
個人的に気になったのは登場人物にアダルトチルドレンが多いということです。
小さい頃の家庭環境がよくないと恋愛にも影響が出てしまうんですね。
女性って怖いなと思いました。
解説サイトではいろいろな推理で盛り上がっていました。
自分なりの解釈で物語の世界が広がるのがこの小説の醍醐味なのかもしれません。
みなさんも自分なりの裏ストーリーを探してみてくださいね。
こちらもどうぞ(妹のブログです)